
Tさん(男性・35才)は、ダジャレコンテストに出場するなど、とにかく話題が豊富で面白いことに加え、直ぐに相手と打ち解けることができる性格で、営業にはうってつけの男性である。しかし、本人は、営業職ではなく、管理部門を希望していた。
Tさんは、私との面談の場でも、とにかくよく話す。といっても転職の話ではなく、転職以外の内容-例えばK1を見に行った、○○駅前の定食屋がうまかったなどの、とりとめのない話が殆どである。また、話を本題からそらすのがとてもうまく、気をつけていないと、彼のペースに引きずり込まれてしまい、いつの間にか転職の話が食べ物の話にすり替わってしまう。私の仕事も彼との面談をかなりの回数と時間をかけてやっている割には、なかなかはかどっていなかった。
「人柄はいいんだけどねえ。面接でも仕事と関係のないことばかり話していたし・・・。仕事もあのペースでやりそうな感じがするので。」
「黙々と仕事をする感じじゃないからなあ・・・。」
「事務作業は苦手なような気がするなあ・・・。ムードメーカーにはなると思うんだけどね」
面接をした会社の人事担当者の意見は概ねこんな感じであった。Tさんの管理部門への転職活動は大分苦戦していた。
Tさんが転職活動を始めて1年後、ついに大手消費財メーカーD社の総務部門から内定が出ることとなった。
「いやあ。本当に今回は助かりました。まさにうちの総務はTさんのような方を探していたのですよ。」
「そういって頂けるとうれしいです。Tさんのどのようなところが良かったですか?」
「うちは消費者からの苦情対応を総務で対応しています。最近は電話だけでなくて会社に来る方までいて対応がかなり大変になっていまして・・・。生真面目な人間にこの仕事を担当させると結構精神的に参ってしまうのもいるんですよ。Tさんなら絶対大丈夫です!」
その後、Tさんは、仕事の近況を聞いたところ、毎日話す相手がいて、仕事が充実しているということだ。なんでも苦情を言いに来る方もTさんにあたるとほとんど丸め込まれて帰っていくとのこと。まさに適材適所ということか。
一方、私の方は、Tさんと長話をすることが少なくなり、仕事は大分はかどりそうである。