
K社は現在急成長中のWebサイト運営会社である。私のK社の印象は、社内は活発であり、会う方すべて優秀で、紳士的で、かつアクティブだった。こうした社風がマスコミに取り上げられることも多くなってきており、求職者にとって人気企業になっていた。
K社は常に新しいサービスの開発を模索しており、事業企画部門の中核となるスタッフの採用を希望していた。K社の人事担当者の要望は「人柄のいい人をお願い」であった。
当社では2名の候補者をK社に薦めていた。Fさん(男性30才)とYさん(女性29才)である。
Fさんは大手コンサルティング会社に勤務しており、大規模なプロジェクトも複数経験している即戦力になりえる人材である。K社に応募する目的で、我々の転職サービスに登録してきた方だった。
また、Yさんは、「感じの良い人」で、私との面談の際に人事担当者の「人柄のいいひとをお願い」を思い出し、K社を薦め、応募を決意した方である。企画業務を経験してはいるが、いずれも補助的な業務であり、即戦力として活躍できるか正直不安な部分はあった。
2人がK社の役員面接受験後、数日してK者の人事担当者から内定者「Yさん」との連絡が私に入った。
「我々は空気を読める。周りに気が使えるということを重要な選考のポイントにしています。一番大切なことは、周囲の人に対する興味と思いやりだと思っているんです。」
「大切なのは現在のビジネススキルや専門性より、当社で働くことでどれだけ能力が伸びるかという点が大事なんです。忙しい当社では、周りをどれだけ配慮して、協調しつつ、スピードを上げて働けるかという点がとても重要で、もともと周りを気にしない人はうちには向きません」
役員面接においてKさんは面接の内容は良かったが、お茶が出された際に、その運んできた社員に対して、気付いたリアクションが取れず、また、明瞭にお礼が言えなかったとのことである。その点、Yさんは、感じ良く対応でき、合格点が貰えたという訳だ。
もし転職が職務経歴や業務スキルだけで決まってしまうものなら、メールでの書類のやりとりだけで充分だろう。我々が転職に介在する意味は、きっとこうしたニーズに応えることにあるのではないか?自分の仕事に少し満足しつつ、家路につくために深夜の西新宿を後にした。