
仕事を頑張っていない人は、世の中に殆どいない。仕事で出す結果や仕事にかける時間は違ってもそれぞれみんな頑張っている。他の人と比べるから「頑張っていない」という評価になるだけで、自分の中では頑張っているのである。だから「頑張っていた」人が、転職して環境が変わることで「普通」の評価をされることがあるし、「普通」の評価がされていた人が、転職先の新しい職場で「頑張っている」と評価が変わることはよくある。
考えてみれば「頑張る」とか「普通」という評価自体が、主観的なものである以上、その基準が人によってバラバラなのは当然である。
Fさん(男性・28才)は、転職活動において迷っていた。今の会社の上司から「頑張っていない」と言われているということで、自分を受け入れてくれる会社を探しているということだった。Fさんの会社は急成長している外資系企業でハードワークであることで有名なところだった。社内の人間関係は希薄でつるんで遊びにいくことはない-そんなところがFさんの不満だったようだ。
Fさんは、実直であるがのんびりしており、正直外資系企業で受けが良いタイプであるとは思えなかった。恐らく社風や今の上司が合わなかったのだろう。
Fさんの就職活動は、非常に困難を極めた。Fさんの希望は「純日本風でチームワークを重視している企業」ということだった。Fさんは、社員が力を合わせてひとつの目標に向かい、みんなが仲間意識を持っている企業を探していた。
6ヶ月の就職活動後、Fさんが転職を決めたのは、築地魚市場の会社だった。その会社の勤務時間は、管理部門なのに午前4時半から12時半までだったので、私はFさんが入社を決めた時にはとても驚いた。
「いや~給料は大分下がりましたけどいい環境ですよ。忙しいですけど人情が触れ合って良い職場に来たと思います。前の会社でも本国とのテレビ会議で4時頃仕事をすることはあったので、時間は苦にならないのですよね。前の会社は正直24時間仕事をしている雰囲気があったので。」
今、Fさんは、上司から「仕事が速い、頑張っている」と言われ、職場に行くのがとても楽しいという。Fさんの目下の悩みは「ターレーに轢かれそう」ということだけだという。
24時間戦うことが要求される外資系企業で働くことが「普通」の人もいるし、朝4時半からの勤務が「普通」の人も世の中にはたくさんいるのだ。転職活動での「頑張っている」「普通」は本当にアテにならないのである。