
30才前後の転職希望者の中には、今までの職業から全く違う業界・職種に転職する-いわゆるキャリアチェンジを希望する人は多い。キャリアチェンジの際に難しいのは、今までの仕事の価値観からの転換である。人間なかなか自分が経験してきた世界から価値を直ぐに変えることができないもの。どのようにして相手の価値観の世界で自分の売り込み(面接におけるプレゼン)が出来るかどうかが就職活動における最大のポイントになる。
公務員だった前職が性に合わず、民間企業の総務職に転職しようとしているKさん(男性・29才)は、正にそういうケースだった。職務経歴書の修正や面接トレーニングを重ねているもののどうしても過去の価値観から抜け出せないでいた。
「Kさん。それでは自己PRをお願いします。」
「はい、私は、目標達成志向は高く継続性が強い人間です。○○時代は様々な人に100件を超える職務質問を積極的に毎日行ってきました。前職とは違いますが、継続して仕事に向かう姿勢を忘れずに自分に課せられたノルマを達成できるように頑張っていきたいと思います。
また、いつも緊張感を持って仕事ができるのが強みです。いつ110番通報が入っても直ぐに現場臨場し、時には犯人に立ち向かえる緊張感をもって仕事をしてきました。こうした姿勢は御社でもきっと貢献できると思います。」
「ちょっと待ってください、Kさん。目標達成志向や継続性を売りにされるのは、良いと思うのですが・・・。職務質問の実施回数をアピールするのはいかがなものかと思いますよ。話は盛り上がるかもしれませんが・・・。総務の採用であれば、相手が総務の仕事ができることをイメージできるアピール内容が良いですね。」
というようなことを何度も繰り返している状況であった。
実は、Kさんだけではなく、多くの人がここから抜け出せないでいることが、内定が取れない原因である。例えば、経理職への募集なのに過去の営業経験をPRする人、法務職への募集なのに、総務の経験をアピールする人もまたしかりである。採用側は即戦力を求め、いかに部門の業務に貢献できるのか面接で測ろうとする。そうなると、他の職種経験におけるアピールは無駄になる可能性がとても高い。
Kさんについては、10回にも及ぶ面談と面接トレーニングにより、我々が思っていることを理解し、希望の総務部門に対して有効な自分を売り込むことができるようになった。正直、最初はかなり苦戦していたが、最終的には内定も2社獲得することができた。
キャリアチェンジで転職が出来ない方は、是非自分の過去の経験にとらわれていないか?それが相手の胸に響く自己PRになっているか自問自答して欲しい-ひょっとしたらそのことであっけなく希望の転職を決められるかも知れない。